こんにちは、台東区議会議員の本目さよです。
今回の決算特別委員会(民生費・衛生費)では、
妊娠期からの支援として行われている「ハローベビー学級」について質問しました。

 

 

 


🤰 妊娠期の学びを「母親のため」から「家族のため」へ

台東区の「ハローベビー学級」は、
妊婦さんとその家族を対象に、出産や育児の基礎を学ぶ講座です。

ですが、ここ数年プログラム内容が大きく変わっておらず、
社会の変化とのギャップを感じています。

 

(10年以上前に土日開催増やすべき!!!と言って、今はだいぶ増えているのですが)

 

男性の育休が広がり、家事や育児を一緒に担う家庭が増えています。
にもかかわらず、メインの体験は今も「妊婦体験ジャケット」。

実際には「軽いね!」と言いながらジャンプしてしまうパパもいるそうです。
筋肉量も体感も違うため、「重さ」だけでは妊娠の大変さは伝わりません。

最近では、**胎動や体温まで再現できる「MommyTummy(マミータミー)」**のような妊婦体験も登場しています。
“重さ”だけでなく、“命を宿す時間”を体験できることで、
妊娠や産後の支え方もきっと変わってくるはずです。

私は、

「ハローベビー学級を“母親の教室”から“家族のスタートライン”に」
と提案しました。


🧑‍🍳 「父親体験」ではなく、「父親実践」を

育休制度が整っても、実際の行動が追いついていない現実もあります。

たとえば――
「外ではおむつを替えない」
「大きな長男(=パパ)が休みを取ると、昼ごはんを作らなきゃいけなくて大変」

というママたちの声。
これではせっかくの育休がママの“家事負担倍増”になってしまい、逆効果です。

家庭の中で、父親が「支える人」から「一緒に担う人」になるための学びが必要です。
講座の中で、料理・おむつ替え・産後シミュレーションなどの実践的な内容を取り入れていくよう求めました。


🍼 「夜間授乳を交代制に」ではなく、「母乳の仕組みを知る」へ

助産師さんたちからは、こんな声も届いています。

「最近はパパ育休が増えて、夜間授乳をパパが担当する家庭が多い。
でも、母乳分泌がうまくいかずに混合育児で悩むママが増えている」

母乳は“出る・出ない”だけでなく、夜間の授乳回数やホルモン分泌のリズムにも深く関係しています。
「夜は交代制にしよう」と産前から決めてしまうと、
産後に助産師がアドバイスしづらくなるケースもあるそうです。

今回の質疑で、区が最近「産後の家事分担を考えるワークシート」的な取り組みを導入していることが分かりました。
ただ、その中に母乳の仕組みや夜間授乳の大切さの説明は含まれていないことも確認できました。

そして実は――
このワークシートが**「夜はパパの担当ね」などと産前に決めてしまうきっかけになり、
結果的に
母乳で育てたいと考えている人の自然な授乳リズムを阻害してしまう可能性**があることがわかりました。

善意の取り組みが、思わぬ形で“ママの体のリズム”を狂わせてしまっている。
この事実は、産後支援を考えるうえで非常に重要です。

私は委員会で、

「ハローベビー学級の中で、母乳の仕組みや夜間授乳の重要性を、パパにも正しく伝える内容を取り入れてほしい」
と提案しました。

“お手伝い”ではなく、“体の仕組みを知って支える”ことこそ、父親支援の第一歩です。


👨‍👩‍👧 “夫婦の学び”が、地域の支えに変わる

父親が早い段階で子育ての現実を理解できれば、
「仕事と育児の両立」への意識も変わります。

講座での学びが、
職場での育休取得や、家庭での家事分担につながる――
それが地域全体の子育て力を底上げする第一歩です。

区としても、こうした学びを“母親講座”にとどめず、
「家族で学ぶ講座」へ発展させることが重要だと考えています。


🌤 まとめ:「支える」から「一緒に育てる」社会へ

出産や育児の準備は、母親だけのものではありません。
そして、母乳の仕組みのように“体のこと”を知ることも、家族みんなの支援の一部です。

家庭全体で「どう助け合うか」「どう支え合うか」を考える時間が、
その後の子育てをずっと楽にしてくれます。

困ったときに、誰かに頼れる。
父親も母親も、自分らしく育児に関われる。
そんな社会を、台東区からつくっていきたいと思います。


シリーズ:くらしを支える決算2025
次回は第3回、「困ったときに助けを呼べる制度を──家事援助を“社協まかせ”にしない仕組みへ」をお届けします。