こんにちは!

台東区議会議員 本目さよ(ほんめさよ)です。

一般質問終わりました。今回は新型コロナウィルス蔓延のため、

質問時間をなるべく短縮しましょうね、という申し合わせがあったため、少しいつもより短めにしました!

20分持ち時間があるのですが、17分くらい??

いつも、盛り込み過ぎで

食パンをくわえながら「遅刻遅刻~」と走って道の角でぶつかる高校生のように

焦りながら早口で質問原稿を読むのですが、

今回はゆったりと落ち着いて質問することができました!

原稿はこんな感じです。

 

質問

 

つなぐプロジェクトの本目さよです。
まずはじめに、人の喪に関するケアの推進について伺います。


    
大切な人の命が失われてしまったとき。
その死に対して、どう向き合っていけるか。
向き合い方によって、残された人の、その後の人生は大きく左右してしまいます。
新型コロナウィルスの感染拡大は、人の死に対する向き合い方にも影響を及ぼすような状況の変化を生んでしまいました。

たとえば、今までなら死の現場に家族が立ち会えたものが、感染防止のために入院したら会えなくなり、そのままお別れになってしまうことも多いでしょう。
死に目に会えないばかりか、遺骨になって初めて故人と対面する事態となってしまうこともありました。また、特別養護老人ホームにはいっている家族に会えないままお別れになるケースもあります。

亡くなってしまった方と、きちんとお別れができなかったために、その人の死とどう向き合っていって良いのか、なかなか答えを見いだせないまま、その後の人生を歩まざるを得なくなっている方が増えてしまっています。

台東区では、ご家族の死後に必要な役所の手続きを「ご遺族の方へ」という資料に一覧でまとめており、遺されたご家族のこ負担が、少しでも軽くなるようにしています。

しかしコロナ禍の死別体験の変化に伴い、区で取り組む喪に関する政策も、よりいっそう深いものにしていくべきではないでしょうか?

まずはじめに、グリーフ・ケアの促進について伺います。

大辞林によりますと、グリーフ(grief)とは「深い悲しみ」という意味の言葉です。そしてグリーフ・ケアとは、身近な人と死別して悲しみに暮れる人が、その状況から立ち直れるように、そばにいて支援することを指します。一方的に励ますのではなく、相手に寄り添う姿勢が大切と言われています。

この考えは1960年代にアメリカで始まったとされ、その後ヨーロッパに広がりました。日本では2005年に起こった西日本旅客鉄道(JR西日本)の福知山線脱線事故をきっかけに、一般に知られるようになり、医療機関や市民グループなどで実施されているそうです。

日本経済新聞によると、グリーフ・ケアについて、国でも「全国の自治体や医療機関、家族の会などを対象に、具体的な支援の内容や現場が抱えている課題などを調査・分析し、2022年3月末までに報告書をまとめる予定」とされています。

すでに世田谷区では、世田谷区グリーフサポート事業を実施しており、相談事業、普及啓発、ネットワークづくりなどを区として取り組んでいます。

台東区には、下町グリーフサポート響和国 「ひこばえ」があったり、そこの方を講師に呼んで、はばたき21でグリーフ・ケアに関する講座を実施したりはしていますが、区としてグリーフ・ケアの推進をしているわけではありません。

コロナ禍で大切な人の死に立ち会えず、死別の悲しみがいつもとは違う形で訪れたり、そもそも実感が沸かなかったりもします。私自身も、祖父をコロナが蔓延してから亡くしましたが、なかなか実感がわきません。

新型コロナウィルスによる社会の変容にともなって、台東区でもグリーフケアに関する取り組みを勧めていくべきではないでしょうか?区長のご所見を伺います。


次に 2,流産死産などのペリネイタル・ロスに関する周知と対応の強化について伺います。

    
台東区では、年間どれくらいの赤ちゃんが流産や死産で亡くなっているのか、ご存知でしょうか?

死産率は厚生労働省の人口動態統計で約2%なので、50人に1人の赤ちゃんが亡くなっている計算になります。ちなみに法的には、12週以降(妊娠約4ヶ月)が死産と定義づけられていて、12週以降に胎児が亡くなった場合には死産届を提出し、火葬することが義務付けられています。

台東区では、令和元年度で32名の方が死産を経験されています。また、妊娠を経験した7人に1人が流産を経験しているそうです。

赤ちゃんの死に関係して、ペリネイタル・ロスという言葉があります。
この言葉は流産、死産・新生児死亡、人工妊娠中絶などで赤ちゃんを失うことです。このペリネイタルロスに関するケアについて伺います。

日本のペリネイタルロスに対するケアについて、専門サイトでは

『これまで日本では語られることは少なく、タブー視する社会的傾向にあり、語る場がないどころか、早く忘れるように強いられたり、赤ちゃんの存在を無視する言葉を投げかけられて傷つくなど、長いグリーフの期間を何のサポートも得られないまま孤独に過ごされている状況(出典:聖路加国際大学ペリネイタル・ロス研究会サイトより)』

このように表現されています。

たとえば、
• 身近な周囲では、体験者と出会えない。話ができない。
• 「流産」や「死産」の体験に負い目を感じている。
 自分だけが、赤ちゃんを亡くした・・・ ちゃんと産めなかった・・・・
• 心理的な安定までに時間がかかる(数カ月から1年以上の場合も)。悲嘆の知識不足。体験者自身が、死別の体験を軽く見ていた。
 なかなか元の「自分」に戻れない・・・・
• 周囲は、早く忘れていく。
 家族や友人や知人に、続く悲しみや母親としての想いを理解してもらえない。
 子どものことをいつまでも話したいのに、聞いてもらえない。
• 産後健診・術後健診が終わると、医療的な支援から離れてしまう。

このようなことが起こります。

実際、ある調査によると、流産もしくは死産がわかった直後は、 78.3%の方が“非常に辛かった”と回答しています。その時期に感じていた辛さは、“亡くなった子どもへの想い”や“気持ちの浮き沈み”などさまざまです。
https://cancerscan.jp/wp-content/uploads/2021/06/85ae87fd9a5a3763047714a9e0b5008f.pdf
p82に記載。

時間の経過とともに、辛さを感じる度合いは緩やかに減少するものの、6 ヶ月たった頃でも「(非常に〜まあ)辛かった」との回答が 51.2%にのぼったそうです。

死産を経験した方の回答は、辛さを「長期間」感じる度合いがより高いという結果でした。“死産から 1年経って以降~現在”においても、70.0%が「(非常に〜まあ)辛かった」と回答したそうです。

近年はようやく当事者の方々が声をあげはじめたことで、ペリネイタル・ロスの課題が周知されつつありますが、まだまだ知られていないのが現状です。

核家族化が進んだことに加えて、現在は新型コロナウィルスの影響もあり、なかなか周囲に相談しづらい方が多いと思われます。

病院に1人で通っていたり、家族以外とは話す環境ではなかったりすると、孤独で悲しみから抜け出せないこともあります。地域の中で悲しみを癒すことができません。

さらに、不妊治療が今年4月から保険適用になり、治療を受けやすくなることも関係していきます。不妊治療を受けて、体外受精などでこどもを授かる場合、受精卵から「わが子」と認識できる時代になりました。

治療をしていなくても、薬局で手軽に購入できる妊娠検査薬によって、着床後わずか5日で妊娠判定が可能です。また、超音波画像が鮮明になったことで、リアルタイムの動画で胎児を確認することもできます。お腹の中の画像を4D、立体的に動く形で見たことがある方も増えてきたのではないでしょうか?

つまり、お腹の中のこどもでも「わが子」と認識するケースが増え、早期の流産でも「わが子の死」であると、本人や家族は強く実感してしまうのです。
「我が子の死」は、厚生労働省「精神障害の労災認定基準」においても、「配偶者や子どもが死亡した」ケースはストレスが3段階中一番高いとされています。                         また、文部科学省の生活環境ストレッサーの強さの中でも、子どもの死亡が一番高い得点だとされています。

それほど我が子を失うことは大きなストレスであり、お腹の中のわが子でも同様のことが言えます。

令和3年5月、厚生労働省が公表した「流産や死産を経験した女性等への心理社会的支援等について」という通知により、
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000793149.pdf
母子を対象とした産後ケア事業などが、流産、死産をされた方も対象になることが改めて周知されました。

それを受けて、台東区では「流産・死産を経験された方へ」というページをHP上に作成しており、素早い対応は素晴らしいと感じています。

ホームページに載せて、検索結果画面に表示させることも本当に大切です。

ただ、流産や死産のケアをさらに進めるために、保健師さんをはじめとする職員の方の研修制度の充実や、当事者同士のピアサポートグループの紹介など、他にもできることはあるのではないでしょうか?

愛知県豊橋市では、死産についても周産期医療機関(*注)からの「母子連絡票」を受け入れており、死産後、メンタル面に何らかの不調が疑われる場合には、医療機関から市へ連絡が入る体制となっています。

また、死産後は産婦健診を少なくとも1回、必要に応じて2回実施しており、その結果も(EPDS (産後うつのテスト)の結果含めて)共有される仕組みになっているそうです。

保健所に届け出があった死産の情報は、保健所健康政策課とこども保健課が把握できるように運用しているそうです。
なぜならこども保健課として、今後の乳幼児に関する案内(健診や保育に関する情報など)の送付を差し止める必要があるためです。
死産の情報を管理することで、次の妊娠の際には本人の申告を待たずに、保健師が必要な配慮を行えます。

台東区でも、死産届が提出されたときに、必要に応じてサポートができることを、本人の負担にならないような形で伝える必要があります。

一層の、流産・死産などのペリネイタルロスのケアの充実を図るべきだと思います。
産後ケアや助産師・保健師の訪問、自助グループなどの紹介などもさらに勧めていくべきです。本人以外にも周りの方に対する啓発も重要です。#ピンクアンドブルーリボン運動
という運動があります。今日わたしもバッジをつけていますが、毎年10/9〜10/15は、赤ちゃんを亡くした家族のための国際的な啓発週間「Baby Loss Awareness Week:ベイビーロス アウェアネス ウィーク」です。こういった啓発運動にもさらに区として力を入れるべきだと考えます。

ペリネイタルロスに関する周知啓発も促進していくべきだと考えますが、区長のご所見を伺います。
 

これに対する区長の答弁はこちらです。



本目議員のご質問にお答えいたします。


ご質問の第一は、人の喪に関するケアの推進についてです。
まず、グリーフ・ケアの促進についてですが、
区ではこれまでも、様々な悩みを抱える方に対して、「こころの健康相談」事業を実施し、その中で、大切な方を亡くされた方の支援を行って参りました。
また、状況に応じて、適切な相談先や支援機関のご案内も丁寧に行っています。
今後、グリーフ・ケアの取組みや支援機関との連携の強化について、他自治体の動向を注視しながら、研究して参ります。


次に、ペリネイタル・ロスに関する周知と対応の強化についてです。
区では、流産や死産を経験した方が、産後ケアを利用できる体制を整備するとともに、ホームページやポスター掲示などにより、ペリネイタル・ロスに関する周知を図っています。
また、当事者団体の方を講師とした職員向けの研修も実施し、相談の際に辛さや悲しみが少しでも軽減されるよう努めています。
今後も、ペリネイタル・ロスに関する周知啓発や、当事者の状況及びニーズに合わせた支援の充実を図って参ります。

台東区のホームページには

こんなページができました。

https://www.city.taito.lg.jp/kosodatekyouiku/kosodate/nenrei/ninshinki/soudan_shien/ryuuzannshizann.html#:~:text=%E5%8F%B0%E6%9D%B1%E5%8C%BA%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%80%81%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE,%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82