区長に「こどもまんなか社会」への体制づくりを提案しました
こんにちは。台東区議会議員の本目さよです。
「子どもや家庭を支える制度、いっぱいあるのに、どこに相談すればいいのか分からない」
そんな声を耳にすること、ありませんか?
保育、教育、福祉、保健――。
それぞれの部署でがんばっているけれど、
支援が“つながりにくい”現実があるのも事実です。
今回は、そんな現状をふまえて、区長に「こどもをまんなかに据えた行政体制」づくりを提案しました。
🌱部署を超えて、子どもを真ん中に
区長からは、
「教育・福祉・保健を横断して見渡せる新しい組織体制を整備する」との答弁がありました。
これは、とても大きな一歩です。
いままでは、子どもや家庭を支える“船”が、それぞれ別々の方向に漕ぎ出していたような状態。
これからは、一つの旗のもとで、同じ方向に進むための舵取りが始まります。
🧩現場の支援を「つなぐ」仕組みへ
発達のこと、学校生活のこと、家庭のこと。
子どもをめぐる課題は、ひとつだけで完結しません。
たとえば、保健センターで相談したことが、教育現場や福祉の窓口にスムーズにつながる。
そんな“当たり前”を実現していくために、組織のあり方を見直すことが大切です。
新しい体制では、「こどもの権利条例」や「こども誰でも通園制度」など、国の流れもふまえた形で、
政策を横断的に進めていく方針です。
🌈こどもの声を、まちの真ん中に
私は、制度を整えるだけでなく、子どもの声がちゃんと届く行政であることが何より大切だと思っています。
こどもたちの意見を聞く仕組みや、安心して話せる場をどうつくるか。
「こどもまんなか社会」の本当の意味は、そこにあります。
子どもをまんなかに置くことは、社会全体をやさしく変えていく力になります。
この視点を、これからの台東区のまちづくりの真ん中に置いていきたいと思います。
✏️まとめ
「こどもまんなか」って、難しい言葉に聞こえるけれど、
要するに「こどもの目線で考えるまち」ということ。
まだ始まったばかりの動きですが、
この流れを、暮らしの実感につなげていけるように、引き続き提案を続けていきます。
質問全文と区長答弁はこちらに掲載しています👇
🔗 こどもを真ん中に置く区政へ(公式HP)
✏️追伸
子どもの声を聴くって、意外と難しい。
「どうしたの?」と聞いても、すぐに答えが返ってくるとは限らない。
でも、話したくなったときに“そばにいる人がちゃんと聴いてくれる”ことが大切なんですよね。
行政も同じで、子どもが話したくなったときに話せる社会をどうつくるか。
それが、「こどもまんなか社会」の本質だと思っています🌷
🗒️【質問と答弁全文】
🟡質問全文(決算特別委員会 総括質問)
【こども部創設とこどもの権利条例を中心に】
初当選から15年、一貫して子ども政策・子育て政策に力を入れてきましたが、
このたびの決算審議を通じて、あらためて感じたのが、
子どもや家庭を支える施策が、いま多くの部署にまたがって存在しているということです。それぞれが一生懸命取り組まれている一方で、支援の切れ目や、連携の難しさが浮き彫りになりました。
私はこれまでも、「子どもを真ん中に据えた行政体系の整備」を提案してきました。現行の体制は、子育て支援課・教育委員会・福祉部門などに分かれ、
どちらかといえば“支援する大人”を中心に設計されています。
一方で、子ども自身を主語に据えて全体を見渡す司令塔的な部門は、まだ存在していません。「こどもまんなか社会」を実現するためには、名称にこだわらずとも、
教育・福祉・保健を横断的に見渡せる組織体制の整備が不可欠です。北上野で進められている子ども関連拠点の整備も、ハード整備にとどまらず、
政策を束ねる“司令塔機能”をあわせて構築することで、より大きな価値を生み出せるのではないでしょうか。そして、本定例会で議論が始まった「こどもの権利条例」。
これはまさに、区政全体が“子どもを主語にする”方向へ一歩を踏み出した大きな契機だと感じています。ただ、理念を掲げるだけでは、現場の課題は変わりません。
条例の理念と、それを日々の支援・評価・予算配分に落とし込む仕組み――。
この「理念と体制の両輪」を同時に整えていくことが、これからの区に求められていると思います。私は、単なる組織改編を求めているのではありません。
「子どもを真ん中に据える」という理念を区民と共有し、
社会全体で子どもを育てる流れを生み出すための“仕組み”としての転換を求めています。区民と共有するためにも、こうした理念を実感できる施策を実施していくことが重要です。
たとえば、文化施設の子ども無料化。
全国では科学館や博物館などで、子どもの学びや好奇心を応援する取組が広がっています。
文化資源に恵まれた台東区だからこそ、
「子どもが自由に文化に触れられる環境を保障する」というメッセージを、区として明確に発信していくことが大切です。また、地域で「子どもが歓迎されている」と感じられる場づくりも重要です。
たとえば銭湯。高齢者には「ふれあい入浴券」がありますが、子どもや親子向けの仕組みはまだありません。
葛飾区や渋谷区では「親子ふれあい入浴デー」を設け、小学生以下の入浴を無料にしています。
子どもが“迷惑ではなく、地域の元気”として迎え入れられるような文化を、行政として後押ししていくことが大切です。銭湯は、世代を超えて人がつながる「地域のハブ」です。
親子で行ける“銭湯デー”のような仕組みづくりを支援し、地域の温かい居場所づくりを進めていただきたいと思います。福祉の分野では、医療的ケア児の支援体制は整いつつあるものの、
NICU退院後の家庭や、児童発達支援と放課後等デイと学校の接続といった、「成長の時間軸」で支援をつなぐ仕組みはまだ十分とは言えません。
こうした切れ目を埋めることこそ、子どもを真ん中に据えた行政の役割です。また、社会福祉協議会が実施する家事援助利用券など、
“家庭をまるごと支える”仕組みを、「区の責任で」再構築することも求められます。
子どもをショートステイなどで預けることではなく、子どもといっしょに家族の病気などを乗り切れるようなサポートなども重要です。健康の面では、子どもの受動喫煙対策も重要です。
豊中市では民間と連携した禁煙支援プログラムにより、約5,000万円の事業費で2億5,000万円の社会的リターンを生んでいます。
子どもの命と健康を守る取組が、社会全体の利益にも直結する好例です。ちなみに分煙がベストな解決策だと審議の中で主張している議員もいましたが、サードハンドスモーク――
台東区でも、実効性ある禁煙支援を進めていただきたいと思います。さらに、障害児通所支援の負担軽減も検討が必要です。
療育や放課後等デイの利用が家計によって左右されることがあってはなりません。
自治体裁量を活かし、最も困っている家庭から先に安心を届ける区政であってほしいと思います。これら一つひとつの施策は、すべて「子どもを真ん中に据えたまちづくり」の一部です。
理念である「こどもの権利条例」と、その理念を支える横断的な組織体制。
この二つをしっかりと連動させ、区全体で子どもを真ん中に置く行政運営へと進めていくことが求められています。区長は、こうした理念を実感できる施策を、組織整備とともにどのように進めていくお考えか。
ご所見を伺います。
🟢区長答弁
深刻さを増す少子化や個人の価値観の多様化など、
子供を取り巻く環境が大きく変化し、
子供と家庭の抱える課題が従来にも増して複雑化する中、
区としては各部が連携し、子供・子育て・若者支援施策の推進を図ってきたところです。加えて、「こどもまんなか社会」の実現に向けて、
より一層取組を推進するための組織体制についても、これまで検討を進めてきました。今定例会の開会にあたり申し上げたとおり、
子供の育ちを地域全体で支えるまちを目指し、
子育て施策の実施体制の充実を図ります。企画立案・調整機能を強化した新たな組織を整備し、
こどもの権利条例の制定や「こども誰でも通園制度」をはじめ、
子供と家庭を支える様々な施策を着実に実施し、
さらなる「こどもまんなか社会」の実現を目指して参ります。