こんにちは! 台東区議会議員 本目(ほんめ)さよです。
先日の区民文教委員会で、4月からスタートする不登校支援の新たな取り組みについて報告がありました。皆さんにとって、とても身近で大切な話だと感じたので、今日はその内容をお伝えします。

新しい取り組みの背景
先日、不登校の子どもたちと保護者の支援について~安心できる居場所づくりを目指して~という記事でも書きましたが、令和5年度、台東区内の不登校児童生徒数は小学校94人、中学校146人と増加傾向にあります。
不登校は「問題行動」ではなく、子どもからの重要なメッセージとして受け止める必要があります。精神科医の松本俊彦氏が指摘するように、若年層の自殺既遂者の多くは一度は学校に復帰しており、不登校を続けていれば命を守れた可能性もあるのです。様々な事情を抱える子どもたちの声に応えるため、台東区では新たな支援の仕組みづくりを進めています。
台東区の不登校支援全体像と今回の追加施策
2月14日の区議会で不登校支援のあり方について質問した際、児童館や図書館を不登校児童生徒の居場所として柔軟に活用することや、保護者支援の充実などについて前向きな回答をいただきました。
また、あしたば学級については現在「学校復帰」を前提としている点を指摘し、学校復帰を前提としない、子どもたち一人ひとりの命と育ちを支える場としての再構築や、新たな場の検討を求めました。
今回の区民文教委員会では、さらに踏み込んだ具体的な支援策として、次の3つの新事業が報告されました。
1. チャレンジクラスの設置
「教室は苦手だけど、少人数なら学校に行ける」という中学生のために、上野中学校内に「チャレンジクラス」を設置します。
ここでは、生徒の状況に合わせた特別の教育課程を編成し、1日4時間程度のゆとりある時間割で学習します。「学校に行きたいけど、教室は苦手...」という中学生の新たな居場所になります。
2. 校内別室指導支援員の配置
区内全ての小・中学校(26校)に「校内別室指導支援員」を配置します。
「学校には来られるけど、教室に入るのは難しい...」という子どもたちのために、空き教室などを活用した学習の場を設け、そこで支援員が見守りやICT機器操作の支援などを行います。
先日、ある小学校の先生から「教室には入れないけど、図書室で過ごす子がいて、その子のために何かできないか」という相談を受けました。この支援員の配置は、まさにそうした子どもたちへの大きな支えになるはずです。
3. 不登校対応巡回教員の配置
区立中学校(7校のうち5校)を週1回訪問し、不登校対応や魅力ある学校づくりについて助言する「不登校対応巡回教員」を配置します。
忍岡中学校を拠点校として、御徒町台東中学校・柏葉中学校・桜橋中学校・駒形中学校を巡回します。
心配な点は?人材確保ができるの?
委員会では「26校全てに支援員を配置するのは人材確保が難しいのでは?」という質問がありました。
教育支援館からは「現在、4月に向けて準備している段階だが、各学校で地域の人材や現在の会計年度職員の方にお声かけをしている」という回答がありました。また、東京都の教育支援機構(ティープロ)と連携し、教員養成系大学にも募集チラシを送るなど、人材確保に努めているとのことです。
支援員はどんな人がなれるの?
支援員の要件は、次の3つのいずれかに該当する方です。
- 教員免許を保持している方
- 教員養成系大学等で教職を志している方
- 校長が認めた方
すでに不登校のお子さんへの周知は?
「すでに不登校になっている子どもたちにはどのように知らせるのですか?」という質問に対し、「3月に区立小中学校に所属している保護者の方に一斉に周知する」との回答がありました。
発達障害のある子どもの支援も
発達障害のあるお子さんが不登校になるケースも少なくありません。「それぞれの子どもたちの障害種別に応じた教室があり、将来的に自分の力で生きていける力をつけていくことが必要」との認識も示されました。
台東区の不登校支援の全体像
台東区では、子どもたちの状況に応じて段階的な支援を行っています。
- 在籍校への登校が可能な場合:合理的配慮、オンライン授業、カウンセラー面談など
- 在籍学級への登校は困難だが、学校内での支援が可能な場合:今回新設の「チャレンジクラス」や「校内別室指導支援員」による支援
- 学校以外での支援が必要な場合:「あしたば学級」などの生活指導相談学級、バーチャル・ラーニング・プラットフォーム、ふれあいパートナーによる訪問など
不登校支援に関する情報とオンラインコミュニティ
不登校についての最近の質問と回答
先日の区議会では、不登校の子どもたちと保護者の支援について質問しました。その詳細はこちらの記事をご覧ください。この質問では以下のような内容に触れています:
- 台東区の不登校の現状(小学校94人、中学校146人)
- 不登校は「問題行動」ではなく重要なメッセージであるという視点
- 児童館や図書館を不登校児童の居場所として活用する可能性
- 鎌倉市中央図書館の先進的な取り組み
- 保護者支援の重要性
- あしたば学級の「学校復帰」前提のあり方を見直し、子どもの命と育ちを支える場として再構築する必要性
オンラインコミュニティのご案内
「うちの子だけじゃないんだ」「同じ悩みを持つ人と話したい」という保護者の方向けに、台東区で不登校のお子さんがいる保護者向けのオンラインコミュニティを始動しました。
ご参加希望の方は、お子さんの状況などとともにお問い合わせフォームからご連絡ください。