本目さよです。先日、「Systemic Design Day 2024」に参加してまいりました。システミックデザインという新しい考え方について、第一線で活躍される専門家の方々から多くの学びを得ることができました。

システミックデザインの本質(武山政直氏の講演より)

問題解決への新しいアプローチ

武山氏は「今日の問題の多くは昨日のソリューションから生まれている」という重要な指摘をされました。対症療法的な解決策が逆に新たな課題を生み出している可能性があり、システムレベルでの変革が求められているというのです。

デザインの新たな可能性

従来のデザインの範囲を超えて、組織システムや地域コミュニティ、さらには地球規模の課題にまでデザインの考え方を適用していく必要性が示されました。特に、サービスデザインの分野でもシステムチェンジへの意識が高まっているとの指摘が印象的でした。


具体的な適用事例


1. **国連開発機構(UNDP)×ユニリーバパキスタン**の取り組み
   - ゼロプラスチック都市への挑戦
   - 地域特性を活かした展開の重要性

2. **障害児童の保護者ケアプロジェクト**
   - 複雑な状況を絵本で可視化
   - 多様なステークホルダーの理解促進


システム思考とデザイン思考の融合(慶應義塾大学 白坂教授)


白坂教授からは、特に以下の点について学びました:

- 「人は見たいものしか見ない」という認知バイアスの存在
- Society5.0時代における新しい産業領域の特徴
- 既存の行政区分を超えた新しい課題への対応の必要性

 
印象的だった事例紹介


■ コロンビアの公共交通改革「ラ・ロリータ」
バス運転手の60%を女性にするという取り組みを通じて、単なる雇用創出を超えた包括的な社会変革を実現しています。

■スウェーデンの「Street Moves」
2030年までに全ての道路を健康で持続可能な空間にするという目標に向けて、住民参加型で具体的な取り組みを進めています。
 

午後のワークショップ体験

英国ポリシーラボが開発したボードゲーム「Systemic」を使用し、「子どもの貧困」をテーマに公共政策への実践的なアプローチを学びました。


おわりに


システミックデザインは、単なる手法ではなく、「人間としてこの地球上で生きていくというのはどういうことなのか?」という根本的な問いに向き合うアプローチだと感じました。今後も学びを深めていきたいと思います。



本目さよ